7日の朝、台風18号の様子が気になっていた。テレビの気象情報では「九州全域が暴風域に入り北部に上陸の恐れ 」とある。しかし、朝の天気もそう悪くないし、関空午後3時前の出発に影響はないだろうと高をくくって車で関空に向かった。いつものことだが、自家用車を関空近くの駐車場(空港で受け渡し)に4日間預けても6千円だから、高速道路代を加算しても電車で往復するより安い。しかも荷物の持ち運びが楽だ。また愛犬を所定の場所に預けたその足で空港に向かうことができるから便利でもある。
集合は、国際線出発ロビーに出発2時間前の12時50分。自宅を10時過ぎに出たので名神・近畿道は込み合うこともなく、ゆとりの走行だった。だから、堺市あたりを走行中、岸和田のサービスエリアでお茶でも・・・と話し合っていたところに携帯電話がなった。「ん?こんな時に誰から?」と、ちょっとドキッとしながら電話を耳にあてると・・・女性の声で「こちら本日お車をお預かりする駐車場のものですが、中国南方航空にお乗りですね。実は、ただいま台風18号により欠航となりました。いかがされますでしょうか」とのこと。ええッ〜?!とびっくりが先にたち、「いかがされますか」と聞かれても、なんとも返答のしようがない。あとで返事するからといったん電話を切り、急いで申し込みをした旅行社に問い合わせの電話を入れてみた。しかし、欠航の報がまだ伝わっていないらしく、確認をしてから電話を入れるという返事。その間も車は関空に向けて走り続けている状態で、引き返すには次の出口で降りなければならない。とりあえず岸和田のサービスエリアに入ることにした。
ほどなくサービスエリアに到着。おりしもお昼前なので、レストランで昼定食を注文して、旅行社からの返事を待つことにした。「それほど風も強くないのになあ。どうして?」などと不服めいた言葉を口にしながら食事をしていたら携帯電話が鳴った。「お客様の情報を確認いたしましたら、たしかに欠航するようです。そこで大変急なことですが、明日同じ時間の出発で、桂林2泊を1泊にして行うことになったのですが、いかがでしょうか」ときた。即決を迫られて狼狽したが、1日短縮されたコースを尋ねると、桂林の漓江くだりと観光が中心で広州観光だけがなくなるとのこと。そして、今夜は関空手前のリンクウタウンにホテルも用意してくれるという。夫と相談するため、いったん電話を切って話し合った結果、せっかく予定を繰り合わせてここまで来たのだから、とぼとぼ引き返すより短縮旅程でも参加してみようということになった。
昼食後、添乗員の待つ関空に行き、受付を済ませて用意されたリンクウタウンのホテルに入った。午後2時頃だっただろうか。行きの関空連絡橋ではあまり風速を感じなかったに、ホテルに入るために通ったときは、車の速度を落とさないと危険を感じるほどの風の強さになっていた。さらにそれから30〜40分後、ホテルの9階の部屋に入り、窓の外を眺めて驚いた。先ほど通ってきた連絡橋が波しぶきでその姿を隠し、交通規制されたのか、車の影もなかったのだ。お〜、私たちは危機一髪だったのか!と、さらに階下を見ると、JRリンクウタウン駅に通じる陸橋を歩く人々が、風に吹き飛ばされそうになって、防護柵につかまって動けなくなっていたのだ。中には、無理に歩こうとして後ろに滑っていく人や、バックの中身が全部吹き飛ばされて空に舞ってしまった女性などもいた。台風のそんな光景は滅多に見られるものではない。人の不幸を手も差し伸べずじっと眺めていることに、ちょっとした後ろめたさを感じながらも「あ〜!飛ばされる〜」「そこにじっとしてないと駄目でしょう!」「あ、その階段上がったら危ないよ〜!」などと、聞こえもしない声を張り上げながら日が落ちるまで眺め続けた。そして、その台風18号が日本全国に、しかも北海道にまで上陸して多大な被害をもたらしたことを、帰国後はじめて知ったのだった。
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